血管肉腫ってどんな病気?

血管肉腫とは、血管内皮に由来する悪性腫瘍です。
犬の好発部位としては脾臓が最も多いです。次いで、右心耳(心臓)、皮膚、皮下、肝臓、腎臓、骨、膀胱など様々な臓器に発生します。

また、非常に転移率が高いことも有名な腫瘍です。
脾臓の血管肉腫は約80%で肝臓に転移するともいわれています。
転移の好発部位としては、肝臓、大網、肺といわれています。

今回の腫瘍では発生が後腹膜という珍しい部位からの発生でした。

症状は?

血管肉腫の発生部位により大きく異なります。
内臓に発生する血管肉腫では、急性の衰弱や虚脱(ショック症状)が認められます。
腫瘍の破裂により腹腔内出血が生じて、循環血液量が低下することにより起こるショック症状です。急死してしまうこともあります。
そのほかにも、下痢や嘔吐、食欲不振、体重減少、腹部膨満などの症状を示すことがあります。後腹膜に起因した症例では、食欲不振と消化器症状を伴うことが多い印象です。

心臓の血管肉腫では、心嚢水貯留による活動低下や呼吸困難、心不全、不整脈などを示します。

治療法は?

内臓から(特に脾臓から)発生した血管肉腫の場合は第一選択として、外科手術による腫瘍の摘出です。来院時ショック症状に陥っている場合は、安定化を実施した後外科手術を実施します。

心臓の血管肉腫の場合では、心膜の切除を実施して、心嚢水が貯留しないようにします。

今回の症例は後腹膜から発生し、腎臓に癒着をしていたため、腎機能の評価を行ったうえで腎臓ごと腫瘍を摘出しました。

転移率が高く、外科治療のみでの治療では不十分なため、術後の化学療法が推奨されます。
ドキソルビシンを主体とした治療が一般的となります。

血管肉腫では放射線療法はほとんど用いられません。

予後は?

脾臓の血管肉腫では、外科治療のみでの生存中央値は1~3か月で1年生存率は10%未満と予後は極めて悪いです。
外科切除後の化学療法の併用で5~6か月まで延長すると報告されています。

肝臓と脾臓、心臓に発生する血管肉腫の予後はほぼ同等といわれています。

今回は後腹膜からの発生ですので、報告がほとんどなく経過のチェックが極めて大切となります。
1日でも長く元気に過ごしてもらえるように飼い主様とできる限りの治療を施しています。
現在手術より10日ほど経過しましたが、転移も確認されず良好な経過をたどっています。
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